サーフィンは、『海』という大自然の中で行うスポーツです。
ひとたび自然が猛威を振るえば、人間の力ではあらがう事が出来ずに、簡単に命を落としてしまう事さえあります。
特に離岸流(カレント)や、波のインパクトゾーンは普段でも危険が潜んでいます。
※この言葉の意味が分からない方は、是非この記事を最後まで読んで下さい。
この記事では、サーフィンを安全に楽しむ為に知っておきたい14個の項目を紹介していきます。
しっかり理解し、自分や一緒にサーフィンする方々の身を守れるようにしましょう!
レベルに合ったサーフポイントを選ぶ
サーフィンが出来るポイントは決まっていますが、ポイントによっては、初心者には危険な場所があります。
その危険性を把握しておきましょう。
離岸流(カレント) を把握しておく
まず、サーファーにとって最も危険なのが、離岸流(カレント)です。
サーファーの死亡原因のほとんどが、離岸流(カレント)による溺死と言われています。
そもそも離岸流とは何なのか?
離岸流(カレント)とは、海岸の波打ち際から沖合に向かってできる流れのこと。
出典:Wikipedia
幅10メートルから30メートル前後、長さ数十メートルから数百メートル前後で生じる、局所的に強い沖方向の波。
主に、海岸に打ち寄せた波が沖に戻ろうとする時に発生する強い流れ。
サーファーは、『カレント』と呼び、普段からこの流れを意識してサーフィンを行っています。
サーファーにとってカレントは、絶対に近寄らない忌み嫌うものではなく、上手く利用する事で沖に出るのを助けて貰える便利な流れです。
注意しなければならないのは、波のサイズアップやうねりの方向によりカレントが非常に強くなった時です。
いくら熟練したサーファーでも、強くなったカレントに真っ向から立ち向かっても敵いません。
- カレントに入って沖に流されてしまう場合には、上記のように直接岸に向かうのではなく、カレントを横切るように脱出してください。
カレントの幅は10~30メートル程度なので初心者でも簡単に脱出する事が出来ます。
ですので、慌てずに対処すれば恐がる必要はありません。
また、人工物(堤防/テトラポッド/ヘッドランドなど)の近くは特に強力なカレントが出来やすいので、波の大きい日や経験が少ないポイントでは避けるようにしましょう。
ポイント特有の危険を把握しておく
ポイント特有の危険性を把握しておくのも、安全にサーフィンをする上で重要です。
例えばポイントによって
- 海底に岩が潜んでいる場所があって、怪我をしやすい
- 人工物付近に特殊な流れが発生する
- 東のウネリが入ると、強烈なサイドカレントが発生する
- 潮が引くと、岩が出てサーフィン不可になる
など、ポイントによっての注意点は様々です。
調べても情報が載っていない事も多いので、ローカルに聞いてみるのが、一番確実です。
それが難しいようなら、人が居ない場所に近寄らないようにしましょう。
ボトムの種類による危険性の違い
ポイントのボトム(海底)によって、波の特徴や危険性が異なるのはご存知でしょうか?
まずはボトム種類を簡単に説明していきます。
- ビーチブレイク
海底が砂地のポイントを「ビーチブレイク」と呼びます。
比較的緩やかなメローな波質になり易く、海底も砂地でクッション性があるので初心者でも安心。
「サンドバー」と呼ばれる砂の盛り上がった部分が最初にブレイクするピークとなります。
砂なので動きやすく、ブレイク位置がその時々で変わる特徴があります。 - 玉石ブレイク
海底が石や砂利が混ざり合ったポイントを「玉石ブレイク」と呼びます。
河口ポイントなどでよく見らえるブレイクで、ビーチブレイクとリーフブレイクの中間の特徴を持ちます。
角がない玉石なのでそれほど危険ではない。 - リーフブレイク・ロックブレイク
海底が岩やサンゴ礁などのポイントを「リーフブレイク」と呼びます。 固定された硬い地面にぶつかるので、パワフルで規則的な波を生み出すのが特徴。
硬い海底+サンゴ礁・貝・ウニなど、素足で踏んでしまうと怪我をするので、中級者以上のポイントになります。
この中ではリーフ・ロックブレイクが一番危険です。
上にも書いたように素足だと非常に怪我をしやすく、特にワイプアウトの際に足から水中入ってしまうと、足裏をカットしてしまう事になります。
足からではなく体全体で水に落ちるようにして、海底に触れない様にしましょう。
ですが、
本当に危険のは上記のような足裏をカットする事ではなく、海底に頭を叩きつけられて意識を失ってしまったり、頚椎を損傷してしまう事。
そうなってしまうと生死に関わる重大な事故になります。
リーフ・ロックブレイクは言うまでもありませんが、比較的安全なリーフブレイクでも頚椎損傷の事故は少なからず起きています。
- もし危険だと思ったらすぐに、上記のように手と腕で頭と顔を保護するようにしましょう。
サイズアップ時の判断は慎重に
言うまでもありませんが、自分の力量に見合わないサイズに挑むのはNG。
サイズアップする時は、これまで紹介した危険が倍増していきます。
ほとんどの場合、自分の力量に見合わないサイズでは、パドルアウトする事が出来ませんので、波打ち際で怪我をする程度で済む事が多いです。
しかし、下記の場合は非常に危険です。
- カレントに乗って沖に出れてしまった。
サイズアップ時はカレントも非常に速くなるので、カレントに嵌ってしまうと一瞬で沖に流されてしまいます。
上で紹介したように、カレントに逆らって岸を目指して漕ぎ続けても戻れませんので、体力を消耗して遭難してしまいます。 - サーフィン中に急激なサイズアップをしてしまった。
特に台風接近中に多い事故です。
台風前はサイズアップしてきて、波の良いことが多いのでサーフィンする方は多いのですが、ある一定を越えると一気にサイズアップしてきます。
先日私の地元でもこの理由でサーファー数名が流されてしまいました。ほんの1時間前までは頭サイズのクリーンな波でしたが、一気にダブル~トリプルの地獄絵図に変貌し、改めて自然の怖さを感じました。
波伝説やBCMなどの波情報サイトで事前にコンディションの変化を把握しておく事で避けられます。
自身の身を守る為に必ず情報のチェックを怠らないようにしましょう。
サーフボードが一番危険
次にサーフボードに潜む危険を解説していきます。
実はサーフィンで最も多い怪我は、サーフボードによる怪我になります。
ほとんどの場合、自分のボードのとの接触による打撲や切り傷が原因となります。
重大事故につながる事は、あまりありませんが十分な注意が必要です。
エントリー時のサーフボードの扱い方
海へのエントリーする時に多いのが、『波を受けたボードが飛んできて接触する』事が原因となり起こります。
小さな波でも波のパワーは強く、ボードでまともに波を捉えてしまうと、すごいスピードでボードが飛ばされます。
ボードが自分めがけて飛んできたり、手で持っていてもパワーに負けてボードごと吹っ飛ばされたりします。
これは、経験者にとっては当たり前の事なのですが、多くの初心者は最初それに気づいていません。
波と自分の身体の間にボードをいれたり、さらに悪いのが波に対してボードを平行にしてしまいボードの『面』で波を受けてしまった場合、人の手では抑えきれない程のパワーになります。
- 波に対してボードを垂直に保ちます。
ロングボードの場合はノーズ部分をもってあげると、波が来たときにボードに当たるのを防ぎながら、ボードを制御できます。
ショートボードの場合は、軽いので波の上に持ち上げてしまってもOKです。
ワイプアウト時の危険回避方法
意図せずにワイプアウトしてしまう場合、上で紹介したボトムとの接触も危険ですが、もう1つ注意したいのは゛自分のボードとの接触゛です。
ボードと一緒に波に巻かれてしまうと、ボードやフィンによる怪我が発生する可能性があります。
リーシュコードがあるので常に自分の近くにボードがあります。
意識していないとかなりの確率でボードと接触する事になります。
しっかりとプルアウト出来れば問題有りませんが、経験が浅い場合は簡単にプルアウトが出来ないので、下記の方法をとりましょう。
ワイプアウト時にサーフボードとの接触を避けるための方法は、ボードを岸側に流すようにします。
但し、岸側に人がいる場合にそれを行うのはNGです。
人が居る場合は、逆にボードにしがみついて岸に流さない様に配慮しましょう。
一緒に波に巻かれると思いますが、ボードと密着していれば大きな怪我は防げます。
サーフィンのルール・マナーを守る
サーフィンのルールは安全の為にある
サーフィンは自由なスポーツと思われがちですが、世界共通の明確なルールが存在しています。
ルールを知らないまま海に飛び込む事は、交通ルールを知らないまま車を運転するのと同じように危険な行為!
すべてのサーファーが共通のルールを守ることで、秩序が保たれ皆がサーフィンを楽しめる状況になります。
下はサーフィンの代表的なルールとマナーです。
[サーフィンルール]
- 前乗り(ドロップイン)しない
- ライディングコースに入らない
- ボードをむやみに投げ出さない
- 危険回避を怠らない
- スネークイン(スネーキング)しない
[サーフィンの代表的なマナー]
- 集団で入水しない
- 騒がない
- ゴミは持ち帰る
- シャンプー・リンスを流さない
- 駐車場のマナーを守る
もし、ピンとこない内容があれば下記の記事で詳しく解説しています。
是非、ご覧になって下さい。
人の後ろにポジションを取らない
自分の身を守る1つとして、人の後ろにポジションを取る事はやめましょう。
まず、前にいる人がライディングする際に邪魔になり、最悪接触する可能性があります。
さらに危険なんのが、セットなどの大きな波が入った際に、前でパドリングをしている人がドルフィンスルーなどを失敗して流されて来た時です。
こちらがドルフィンをしている際に、接触する可能性が非常に高いです。
- 沖にパドルアウトする人 (特に経験の浅い初心者) の後ろには絶対に入らないようにしましょう。
もしも、そんな事態になってしまったらドルフィンなどを中止して、波に背中を向けて一緒に流されるか、身体だけでも水中に避難するような回避行動を取って下さい。
他のサーファーと一定の距離を保つ
上で紹介したものと似ていますが、波を待つ時はなるべく他のサーファーと距離を取って下さい。
少なくとも3~4mほどの距離を取っていれば、不用意な接触・トラブルを回避出来ます。
波待ちのが安定しない人は特に注意が必要です。
バランスを崩してボードを飛ばし、周りの人に怪我をさせる事がありますし、その逆もあり得ますので注意しましょう。
自然の生き物への対処
クラゲ
せっかく海水浴やマリンスポーツを楽しんでいるのに、水を差してくるイヤな奴です。
見た目も気持ち悪いクラゲですが、厄介なのは触手に仕込まれている毒針です。
触れようものなら、毒針をお見舞いしてきます。
毒性の弱いクラゲであれば、少し腫れる程度ですが、
強いクラゲですと、えぐれる様な傷跡や、アナフィラキシーショックで死に至る事も・・・・。
地域別に注意が必要なクラゲや、その対処方法などを下の記事で詳しく説明しています。
アカエイ
日本のビーチブレイクは、アカエイが底に潜んでいる場合があります。
尻尾の根元に太い毒針があり、これを踏んでしまうと激痛が走り、身体の痺れや吐き気に見舞われる可能性があり、ごく稀に死に至る事例も報告されています。
- 刺されないようにする最善の方法は、スリ足で(またはシャッフルしながら)移動することです。
アカエイは地面の振動を感じると逃げていきますので、『ここに人間がいるよ』という事を伝えるようにしましょう。
ある程度水深が深くなったらパドリングに移行すればもう安全です。
アカエイは、非常に強い毒を持っていますので刺されたらすぐに海から上がり病院へ直行しましょう。
ウニ
見るからに危険なウニ・・・。
ビーチブレイクではあまり見かけませんが、リーフやロックブレイクに結構生息しています。
アカエイほどの危険性は有りませんが、見た目のとおり鋭い棘がいっぱい刺さりますし、途中で折れて体内に棘が残ります。
対処方法はリーフブレイクの時と同じく、足を付かない事、足から落ちない事です。
自身が無ければリーフシューズと呼ばれる靴を履いてサーフィンしましょう。
他の人とのコミュニケーション
仲間と一緒に入る
なるべくなら、仲間と一緒に入るのがおすすめです。
怪我/遭難/トラブル等
何かあった時に手を貸してくれる仲間がいれば、心強いですし最悪の事態を避けれる可能性はグッと上がりますよね。
ローカルに顔見知りを何人か作っておくのもいいですね。
少なくとも、誰もいないポイントで入るのは控えましょう。
家族に海に行く事を伝えておく
一緒に住む家族や身内に、サーフィンに行くことを伝えておくのも、最悪の事態を避ける一つの方法です。
帰りが遅ければ海で何かあったと気づきますので、捜索もスムーズに進むはずです。
具体的なポイントや帰宅時間まで伝えておけば、より良いですね!
安全の為に知っておくべき事 まとめ
レベルに合ったサーフポイントを選ぶ
・離岸流(カレント) を把握しておく
・ポイント特有の危険を把握しておく
・ボトムの種類による危険性の違い
・サイズアップ時の判断は慎重に
サーフボードが一番危険
・エントリー時のサーフボードの扱い方
・ワイプアウト時の危険回避方法
サーフィンのルール・マナーを守る
・サーフィンのルールは安全の為にある
・人の後ろにポジションを取らない
・他のサーファーと一定の距離を保つ
自然の生き物への対処
・クラゲ
・アカエイ
・ウニ
他の人とのコミュニケーション
・仲間と一緒に入る
・家族に海に行く事を伝えておく
以上、サーフィンを安全に行うために知っておくべき14の事!でした。
色々と恐い&危険な事を紹介しましたが、恐がる必要は一切ありません。
海上という特殊なフィールドなので、陸上とは違った注意が必要というだけで、スケートボードやスノーボードなどより、怪我の危険は少ない比較的安全なスポーツです。
興味があれば是非トライしてみましょう!!
下の記事でサーフィンの始め方を網羅的に解説しています。
是非参考にして下さい。
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